航空大学校

フェイル

投稿日:2018-06-20 更新日:

パイロット訓練生の間で使われる「フェイル」という言葉は知っているでしょうか。「フェイル」とはFailのことで、字義通りだと「失敗する」とか「落第点を取る」とか「落ちる」の意味です。航空大学校における「フェイル」の意味は「退学」の意味です。

私立大学のパイロット養成コースの学費が、数千万円することから分かるように、パイロットを養成する訓練には相当の費用がかかります。航空会社はパイロット養成のために無尽蔵に予算を使えるわけではないので、また無限に時間を使えるわけではないので、ある一定の予算・期間内である一定の成果を出さない訓練生については、本人に継続の意志があろうと途中で訓練を止めさせて地上職に転換させたり契約を解消したりします。航空大学校は、将来のエアラインパイロットの養成機関として、学生による学費と国からの予算により成り立っています。また2年弱でエアラインパイロットを養成するという独立行政法人としての目標も存在します。そのため、航空会社と同じようなポリシーのもと、訓練の進捗が悪い学生については「フェイル」をさせています。

つまり、航空大学校に入学することが出来れば必ずパイロットになれるかというと、そうではありません。特にここ最近の航空大学校では「フェイル」が多いのが学生の間で話題となっています。入学者72名に対し卒業者65名ほど、ここ最近ではもう少し低いです。(参考:航空大学校-Q&A-入学志望者の方へ 就職状況

昔のことはよく分かりませんが、ここ最近のある回期では帯広フライト課程で18人中5人がフェイルするなど、私が座学生の頃には考えもつかなかったことが起こっています。

ここ最近では各回期18人中、卒業までに2,3人減っていることがほとんどです。割合にして10%弱になります。以前は事業用操縦士(単発)の資格を取得するための宮崎フライト課程が山場であったらしいですが、ここ最近では帯広フライト課程でもフェイルが多く出ているようです。倍率が高くなって入学者の質が上がっているように見える一方で、受験対策予備校の台頭により実際は小手先の対策で入学試験をくぐり抜けている学生が多く、全体としては学生の質が下がっているという話も聞きます。

余談ですが、ANAやJALなどの自社養成は更にフェイルの割合が高いと聞いています。彼らはドイツやアメリカで、英語でいくつかの試験を合格しなければならず、英語力が原因でフェイルになる人が多いということです。そのためここ最近の自社養成パイロット採用試験は英語力が特に重視されているそうです。

パイロットという特殊な環境で仕事をする上で向き不向きがあるのは当然承知していますが、よく知る人がフェイルになっていくのを見るのは本当に辛いです。また、審査官(教官)も人間ですので傾向があり、よくフェイルさせる傾向にある教官とさせない教官が存在します。前者の教官では、学生目線でなぜこの学生が審査に落ちるのだろうと不思議に思うことも多々あります。(公平性を確保するために学生は2回の審査を受けることが出来ます。)
やや愚痴っぽくなってしまいましたが、何を伝えたかったかまとめると、フライト学生になって以降パイロットになるのは予想以上に大変だなと感じております。

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